厨房の排水桝とグリーストラップ|飲食店の油対策と清掃の目安

厨房の排水桝とグリーストラップの油対策と清掃の目安を解説する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は、編集部が市町村の下水道の案内や国民生活センターなど公的機関の公開情報を調べて独自に執筆しています。排水設備の基準や管理の区分、指定工事店の制度は市町村によって違うことがあるため、最新の情報はお住まいの市町村の下水道の担当窓口で確認してください。

営業中に厨房の床の排水口から水が上がってきた。グリーストラップの掃除、最後にいつやったか思い出せない。飲食店を切り盛りしていると、そんな場面に出くわすこともありますよね。

結論から言うと、厨房排水桝のトラブルを防ぐ鍵は、手前のグリーストラップで油をきちんと止めておくことです。清掃の目安も、自治体がはっきり示しています。

この記事を読むと、厨房の排水の流れと、毎日・毎週・毎月やることが分かります。

目次

厨房の排水はどこを通る?グリーストラップと桝の役割

先に結論

飲食店の厨房の排水は、まずグリーストラップ(グリース阻集器)で油を止め、その後に排水桝や管を通って下水道へ流れます。グリーストラップは「油を止める所」、桝は「流れを点検する所」です。

『グリーストラップと排水桝って、同じ物じゃないの?』と思っている方も多いはずです。

実は、役割がまったく違うんです。グリース阻集器は、厨房の排水に含まれる油脂を取り除いて、排水管の詰まりを防ぐための器具です。

排水桝は、管の合流点や曲がる所などに置かれる点検・掃除の入口です。どちらか片方だけ手入れしても、厨房の排水はうまく流れません。

設備役割主にたまる物手入れの主役
厨房の床の排水口・集水桝床や機器の排水を集める食べかす・ごみ毎日の掃除
グリーストラップ油脂を浮かせて止める油の層・沈殿物毎日・週1回・月1回の清掃
屋外の排水桝管の点検・掃除の入口すり抜けた油や汚れ定期的な点検
公共ます(道路から約1m)下水道本管へつなぐなし市町村の管理
厨房の排水が、床の排水口からグリーストラップで油を止め、屋外の排水桝を通って公共ますへ流れる順番を示した図解

床の排水口や集水桝も「最初の関門」

厨房の床にある排水口や四角い集水桝も、排水の入口として大事な場所です。ここで食べかすを止められれば、グリーストラップの負担もぐっと減ります。

『床の排水口はモップのついでに流しているだけ』という店も多いはずです。閉店後にふたを外して、底にたまったごみを取り除くひと手間を足してみてください。

グリーストラップは設置が求められる設備

飲食店やホテルなどの厨房には、建築基準法の関係規定や市町村の下水道条例でグリース阻集器の設置が求められています。

『うちの店は小さいから関係ない』とは限らないので、店の図面や設備の一覧で、どこにあるか一度確かめておきましょう。

厨房排水桝とグリーストラップの清掃の目安

毎日・週1回以上・月1回以上の3段階

福岡市などのリーフレットでは、清掃の目安が示されています。毎日1回バスケットのごみ、週1回以上油脂分、月1回以上沈殿物を取り除く、という3段階です。

ここが大事なところです。清掃の目安を、やることと「やらないとどうなるか」で表にしました。

頻度やること怠った時に起きやすいこと
毎日1回バスケット(ごみかご)にたまったごみを取るごみがあふれて油と混ざる
週1回以上浮いた油脂分をすくい取る油の層が厚くなり、下流へ流れ出す
月1回以上底にたまった沈殿物を取り除く沈殿物で中が浅くなり、油を止める力が落ちる
定期的に屋外の排水桝のふたを開けて流れを見る管の詰まりに気づくのが遅れる

福岡市のリーフレットでは、清掃を怠ると排水管の詰まりや悪臭、害虫の原因になるとされています。詳しくは福岡市のリーフレットで確かめてみてください。

閉店後の毎日チェック
  • バスケットのごみを取って、ごみ袋に入れた
  • グリーストラップのふたがきちんと閉まっている
  • 厨房の床の排水口に食べかすが残っていない
  • 鍋やフライパンの油を、洗う前にふき取った
グリーストラップの清掃を、毎日・週1回以上・月1回以上の3つの頻度に分けて示した図解

週1回の油脂の取り方

油脂分の取り除きは、慣れれば短い時間で終わります。基本の流れはこうです。

油脂分の取り除き方
  1. ゴム手袋をして、グリーストラップのふたを開ける
  2. バスケットを外して、たまったごみを袋に入れる
  3. 表面に浮いた油の層を、ひしゃくなどですくい取る
  4. すくった油は、流しに戻さず決められた方法で処分する
  5. バスケットを戻し、ふたをきちんと閉める

製品ごとに中の仕切りや部品の形が違うので、取扱説明書があれば一緒に確かめておきましょう。

取った油や沈殿物は流さない

グリーストラップから取り出した油や沈殿物を、そのまま流しに戻すのはやめておきましょう。せっかく止めた油が、また下流の桝や管にたまってしまいます。

取り出した物の処分のしかたは、自治体や地域の決まりで違います。店のある市町村の案内や、契約している清掃業者に確かめておくと安心です。

担当を決めておくと続けやすい

『忙しくて、つい後回しになる』という声もよく聞きます。毎日の分は閉店作業に組み込み、週1回・月1回の分はカレンダーに書いて担当を決めておくと、抜けにくくなりますよ。

グリーストラップの上流にトラップ桝を置かない理由

二重トラップは流れを悪くする

グリース阻集器を使う場合、その上流にトラップ桝を設けると「二重トラップ」になるため設けない、と自治体の資料(上越市)で示されています。

『においが気になるから、トラップを増やせば安心でしょ?』と思うかもしれませんね。

トラップは、ためた水がふたの役目をして、管からのにおいを防ぐしくみです。ただ、1本の流れにトラップが2つ並ぶ二重トラップは、排水の流れを悪くするので避けるのが基本です。

グリース阻集器そのものにも、においを止める役目があります。だからその手前にトラップ桝を重ねないんです。トラップのしくみはトラップ桝の記事で詳しく紹介しています。

改装の時に気をつけたいこと

店の改装や移転で排水の経路を変える時に、良かれと思ってトラップを足してしまうと、二重トラップになることがあります。排水設備の工事は、市の指定工事店に相談しましょう。

においが気になる時に先に見る所

厨房のにおいが気になる時は、トラップを足す前に、まず清掃の状態を見直してみてください。福岡市のリーフレットでも、清掃を怠ると悪臭の原因になるとされています。

バスケットにごみが残っていないか、油の層が厚くなっていないか、底に沈殿物がたまっていないか。この3つを確かめるだけで、原因が見つかることも多いですよ。

市から改善を求められることもある

グリース阻集器の管理が十分でないと、市長から改善命令が出る場合があります。店を続けていくためにも、清掃の記録をつけておくと安心です。

記録といっても、難しく考えなくて大丈夫です。例えばこんな表を厨房の壁に貼っておき、やった日に担当者が印をつけるだけでも続けやすくなります。

日付バスケットのごみ油脂分の取り除き沈殿物の取り除き屋外の桝の確認気づいたこと
記入例済済なしなし油の層が厚め

「気づいたこと」の欄に、においや流れの変化を書いておくと、業者に相談する時にもそのまま伝えられますよ。

ホーコスなどメーカーの製品を調べる時の確かめ方

製品はふたや本体の表示から調べる

厨房向けのグリーストラップや排水桝の部品を探す時は、ふたや本体の表示・店の図面・工事の書類からメーカー名を確かめるのが近道です。

厨房向けの製品を扱うメーカーとして、公式情報で確認できるのは次のような会社です。製品の優劣や価格はこの記事では比べません。

メーカー公式情報で確認できる主な製品
ホーコスグリーストラップなどの建築設備機器(FRP製のグリース阻集器など)
下田エコテックステンレス・FRP製の厨房用排水ます、駐車場・洗車場用の排水ます、グリーストラップなど

「ホーコス 排水桝」で調べる方も多いですが、ホーコスについて公式情報で確認できるのは、グリーストラップなどの製品です。手元の設備がどの製品か分からない時は、本体の表示を写真に撮っておきましょう。

本体の表示が汚れて読めない時は、無理にこすらず、店の図面や工事の書類を探してみてください。設備の一覧にメーカー名や型番が書かれていることがあります。

部品の交換を業者に頼む時は「ふたの表示はこれです」と写真を見せるだけで、話がぐっと早くなります。メーカーの調べ方は排水桝のメーカーの記事でも紹介しています。

清掃や点検を外部に頼む時に確かめること

沈殿物の取り除きや管の洗浄を、外部の業者に頼む店もありますよね。頼む前に、次のことを確かめておくと行き違いが減ります。

依頼前のチェック
  • どの設備(グリーストラップ・排水桝・管)を清掃してもらうか
  • 取り出した油や沈殿物を誰が処分するか
  • 作業の時間帯が営業に重ならないか
  • 見積もりに作業の内訳が書かれているか

よくある相談:厨房の排水が詰まった時はどこに頼む?

よくある相談から

飲食店の厨房の排水については、修理をどこに頼めばいいか、直してもらったのにまた詰まる、といった相談がよく見られます。

小さな飲食店の排水溝の修理は、どこに頼めばいい?

小さな飲食店の厨房で排水溝を直したいけれど、どこに頼めばいいか分からないという相談です。

まずは、店の工事をした会社や、建物の管理会社に相談するのが近道です。仙台市の案内でも、管理会社やハウスメーカー、排水設備の工事をした業者に直接連絡するよう案内されています。

排水設備の新設や改築を伴う工事は、市の指定工事店でなければできません(横浜市の例)。つまり除去や清掃だけなら、指定工事店でなくても対応できます。

業者に直してもらったのに、大雨の後にまた詰まった

一度業者に直してもらった厨房の排水口が、大雨の後にまた詰まり始めたという相談です。

この場合、厨房の油だけでなく、雨水と一緒に流れ込んだ土砂やごみが原因のことも考えられます。前回どこを直したのか、今回どこに水がたまっているのかを業者に伝えると、原因を探しやすくなります。

例えば「前回は床の排水口の先を直してもらいました。今回は大雨の後から、同じ所に水がたまります」と伝えると、話が早く進みますよ。

移転先の厨房にグリーストラップがあるか分からない

店を移転する予定で、移転先の厨房の排水設備がどうなっているか知りたいという相談です。

まずは物件の図面や設備の一覧で、グリース阻集器がどこにあるか確かめましょう。分からない時は、物件の管理会社や前のテナントの工事をした会社に聞くと早いです。

設置が求められる設備なので、新たに付けたり経路を変えたりする時は、市の指定工事店に相談するのが安心です。

排水桝ドットコム

自分で直せない排水桝のつまりは、業者の見積もりで比べませんか

ふたを開けても原因が見えない、何度も詰まる、木の根が奥まで入っている。そんな時は無理をせず、つまり修理や排水管の工事を頼める業者に相談するのが近道です。頼む前に確かめることと、見積もりを同じ物差しで比べる手順をまとめました。

業者の選び方排水桝の修理業者の選び方を見る

当サイト内の解説ページに移動します。公共ますから先の詰まりは市町村の担当です。作業の内容・料金・保証は各業者に直接ご確認ください。

業者の探し方と見積もりで確かめることは業者に頼む方法と選び方で詳しく紹介しています。

よくある質問

厨房排水桝の掃除はどのくらいの頻度ですればいいですか?

グリーストラップは福岡市などの目安で、毎日バスケット、週1回以上油脂分、月1回以上沈殿物の清掃です。屋外の排水桝も定期的にふたを開けて流れを見ておきましょう。

グリーストラップがない厨房でも大丈夫ですか?

飲食店などの厨房には、建築基準法の関係規定や市町村の下水道条例でグリース阻集器の設置が求められています。設置の要否は、店のある市町村の担当窓口で確かめてください。

グリーストラップの手前にトラップ桝を付けてもいいですか?

二重トラップになるので設けないよう示されています(上越市の資料)。経路を変える時は、市の指定工事店に相談しましょう。

グリーストラップの油を自分で取ってもいいですか?

毎日・週1回の目安で行う作業なので、店の日々の作業に組み込むのが現実的です。取った油は流しに戻さず、決められた方法で処分しましょう。

家庭の台所の排水桝と厨房の排水桝は何が違いますか?

流れてくる油の量が大きく違います。厨房ではグリーストラップで油を止める設備が加わり、清掃の頻度も高くなります。家庭の台所は台所の排水桝の記事をどうぞ。

まとめ

この記事の要点
  • 厨房の排水は、グリーストラップで油を止めてから排水桝を通る
  • 清掃の目安は毎日バスケット、週1回以上油脂分、月1回以上沈殿物
  • グリーストラップの上流にトラップ桝を置くと二重トラップになる
  • 製品はふたや本体の表示を写真に撮って調べる
  • 修理はまず工事をした会社や管理会社に相談する
排水桝ドットコム

排水桝ドットコム 編集部

排水桝とは何か、家のどこにあるか、汚水桝・雨水桝・トラップ桝などの種類、つまりや木の根の対処と掃除の方法、工事や業者の頼み方までを、家の持ち主の目線で整理している情報サイトです。 公式サイト

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