塩ビの排水桝(小口径桝)とは?コンクリート桝との違い

塩ビの排水桝(小口径桝)とコンクリート桝の違いを解説する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は、編集部が市町村の下水道の案内や国民生活センターなど公的機関の公開情報を調べて独自に執筆しています。排水設備の基準や管理の区分、指定工事店の制度は市町村によって違うことがあるため、最新の情報はお住まいの市町村の下水道の担当窓口で確認してください。

庭の排水桝を見たら、丸い小さなふたと四角い大きなふたが混ざっていて『どっちが新しいの?何が違うの?』と思ったことはありませんか。

結論から言うと、丸い小さなふたの多くは塩ビの排水桝(小口径桝)、四角いふたの多くはコンクリート桝です。素材が違うと、大きさや中の形、つなぎ目のでき方まで変わってきます。

この記事を読むと、2つの違いと、自分の家の桝がどちらか、古い桝で気をつけたいことが分かります。

目次

塩ビの排水桝(小口径桝)とは?

先に結論

塩ビの排水桝は、硬い塩化ビニルで作られた、直径の小さい丸い桝です。口径が小さいことから小口径桝とも呼ばれ、最近の住宅の宅地内の排水によく使われています。

排水桝とは、敷地の中の排水管の途中にある点検と掃除のための入口です。基本は排水桝とは?役割と種類で紹介しています。

各市の排水設備の指針によると、宅地内の排水管には硬質塩化ビニル管が主に使われています。その管と同じ素材でできた桝が、塩ビの排水桝なんです。

『塩ビって、水道管のあの灰色の管のこと?』と思った方、そのイメージで大丈夫です。

項目塩ビの排水桝(小口径桝)
素材硬質塩化ビニル
ふたの形丸くて小さい
中の形底の溝(インバート)や管の向きが、あらかじめ形になっている
管とのつなぎ方塩ビの管と継手で差し込んでつなぐ
種類汚水用、雨水用、トラップ付きなど用途ごとにある
塩ビの排水桝(小口径桝)の、丸いふた・縦に伸びる立上り管・底のインバートと管のつながりを示した図解

地面から見えるのは「ふた」と「立上り」だけ

塩ビの排水桝は、地面から見るとふたしか見えません。

地面の下では、底の部分(インバートや管の入口・出口)から、細い筒(立上り管)がふたまで縦に伸びています。この筒の中をのぞくと、底の溝が見える形なんです。

つまり、塩ビ製の排水桝は、底の部品と縦の筒とふたを組み合わせて作られています。

底の部品には、まっすぐ流すもの、横から合流させるもの、曲がり角に使うものなど、置く場所に合わせた形があります。管が合流する所や曲がる所に桝を置く、という排水設備のルールに合わせて選ばれているんです。

ふたも、汚水用と雨水用で表示が分かれていることがあります。ふたに文字があれば、それも手がかりにしてみてください。

コンクリート桝との違いを6つの点で比べる

違いは「部品で組むか、箱を据えるか」

塩ビの排水桝は工場で形が決まった部品を組み合わせ、コンクリート桝は四角い箱を据えて管をつなぎます。この作り方の違いが、大きさ・重さ・つなぎ目・掃除のしやすさの違いにつながります。

ここがいちばん気になるところですよね。6つの点で並べてみます。

比べる点塩ビの排水桝(小口径桝)コンクリート桝
大きさ直径が小さい丸い形四角くて大きめ
重さ軽い重い
中の形底の溝や管の向きが部品として決まっている底の溝はその場で作られていることが多い
つなぎ目管と継手を差し込んでつなぐ管と箱の間をモルタルなどで埋めてつなぐ
掃除のしやすさ中が狭く、手が入りにくい中が広く、スコップが入れやすい
木の根の入りにくさつなぎ目にすき間ができにくい古くなるとつなぎ目にすき間ができることがある

仙台市は、樹木の根が宅地内の桝や下水道管のすき間に入り込むと、詰まりの原因になると案内しています。すき間ができにくいかどうかは、木の根の入りやすさにも関わってくるんです。

塩ビの排水桝の向いている点
  • 軽くて扱いやすい
  • つなぎ目にすき間ができにくい
  • 用途ごとに形の決まった部品がある
塩ビの排水桝の気をつけたい点
  • 中が狭く、手やスコップが入りにくい
  • 深い所の詰まりは道具がないと届きにくい
  • 立上り管を短く切ると元に戻すのに手間がかかる

コンクリート桝にも良いところはある

『古いコンクリート桝は、すぐ替えなきゃだめ?』と心配になる方もいるはずです。

ただ、コンクリート桝は中が広いので、たまった油や土砂をスコップですくいやすい良さもあります。割れやすき間がなく、流れに問題がなければ、慌てて替える必要はありません。

大事なのは素材そのものより、今の状態です。状態の見方は、このあとの判定表で紹介しますね。

例えば、コンクリート桝を開けて、壁がきれいで、水を流すとすっと引いていくなら、まだまだ使える状態です。反対に、すき間から細い根がのぞいている時は、早めに対処を考えるサインになります。

塩ビとコンクリートが混ざっている家もある

古い家では、一部の桝だけが塩ビの排水桝に替えられていることがあります。

例えば、台所の外の桝だけ丸い小さなふたで、ほかは四角いコンクリートのふた、という家です。リフォームや詰まりの修理の時に、その桝だけ交換したのかもしれません。

素材が混ざっていても、流れに問題がなければ心配はいりません。ただ、点検のやり方は素材ごとに少し変わります。

素材掃除に向く道具気をつけたいこと
塩ビの排水桝柄の長いトングや小さなスコップ、ライト中が狭いので、無理に手を入れない
コンクリート桝スコップ、バケツ、はさみ壁の欠けや、つなぎ目のすき間も一緒に見る

口径と深さの関係(浜松市の基準の例)

深い所ほど、口径の大きい桝を使う

浜松市の排水設備指針では、雨水ますの口径を設置する深さによって決めています。深いほど、点検や掃除がしにくくなるので、口径の大きい桝を使う考え方です。

小口径の排水桝にも、いくつかの大きさがあります。どの大きさを使うかは、桝を置く深さで決まるんです。

浜松市の雨水ますの基準の例を表にしました。

種類口径(内径)設置する深さ
小口径ます15cm100cm以下
小口径ます20cm150cm以下
ます(深い場合)30cm150cmを超える場合
コンクリート製ます(角ます)内径30cm×30cm60cm以下
コンクリート製ます(角ます)内径60cm×60cm150cm以下

同じ指針では、小口径ますはバスケット付きとされています。防臭トラップ付きの小口径ますは200mmのみ、とも書かれています。

基準は市町村ごとに違う

ここで紹介したのは浜松市の雨水ますの基準の例です。桝の大きさや深さの決まりは、市町村によって違うことがあります。最新・詳しくはお住まいの市町村の下水道の担当窓口で確認してみてください。

雨水用の小口径桝についているバスケット

浜松市の基準で小口径ますはバスケット付きとされているように、雨水用の塩ビの桝には、中にかごのようなバスケットが入っていることがあります。

雨水と一緒に流れてくる落ち葉や小石を、このバスケットで受け止めるしくみです。

『ふたを開けたら、かごに葉っぱがいっぱいだった』という時は、バスケットを持ち上げて中身を捨てるだけで大丈夫です。たまったままにすると、雨の日に水があふれる原因になるので、時々のぞいてみてください。

トラップ付きの塩ビの桝もある

台所や浴室の系統には、桝の中に水をためてにおいを止める、トラップ付きの塩ビの桝が使われていることもあります。

浜松市の基準の例では、防臭トラップ付きの小口径ますは200mmのみとされています。しくみと注意点はトラップ桝とは?で紹介しています。

深い桝ほど、自分で触らない方がいい

深い所にある桝は、底まで手が届きません。

『ちょっと手を入れれば取れそう』と思っても、深い桝に頭や上半身を入れるのはやめておきましょう。底の詰まりは、業者の道具で取ってもらう方が安心です。

自分の家の排水桝は塩ビ?コンクリート?見分け方と判定表

ふたの形と、中をのぞいた時の様子で分かる

丸い小さなふたで、中に縦の筒が伸びていれば塩ビの排水桝です。四角いふたで、中が箱の形になっていればコンクリート桝です。古い家では両方が混ざっていることもあります。

ここからは、実際に家の桝を見分ける方法です。ゴム手袋をして、ふたを開けてみてください。

塩ビの排水桝かどうかのチェック
  • ふたが丸くて小さい
  • ふたの下に、灰色などの縦に伸びる筒がある
  • 筒の中をのぞくと、底に溝や管の口が見える
  • 壁がつるっとしていて、継ぎ目が少ない

反対に、ふたが四角く、中が箱のように広くて、壁がざらっとしていればコンクリート桝の可能性が高いです。

例えば、家族とこんなふうに確かめるとスムーズです。

「このふた、丸いけど中は四角い箱になってるよ」
「じゃあ、ふただけ交換された古い桝かもしれないね」

ふたと中の素材が違うこともあるので、ふたの形だけで決めずに、中まで見てみるのがコツです。

塩ビの排水桝の中を点検するコツ

塩ビの排水桝は中が狭いので、コンクリート桝と同じやり方では掃除しにくいことがあります。

塩ビの排水桝のふたを開けて、中をライトで照らして点検している手元の写真
塩ビの排水桝を点検する手順
  1. ゴム手袋をして、ふたのまわりの土をはらってから開ける
  2. 懐中電灯やスマホのライトで、筒の奥の底を照らす
  3. 底の溝に油の塊や土、根がたまっていないかを見る
  4. 届く範囲のたまった物を、柄の長い道具で取り除く
  5. 家の中で水を流して、底の溝を水が流れていくかを確かめる

仙台市や神戸市は、年1回程度ふたを開けて堆積物を取り除き、流れを確かめるよう呼びかけています。掃除の道具と手順は排水桝の掃除のやり方でくわしく紹介しています。

古いコンクリート桝で起きやすいことの判定表

コンクリート桝が古くなると、いくつかのサインが出てくることがあります。

見えたサイン考えられることどうするか
管と壁のつなぎ目にすき間があるつなぎ目のモルタルが傷んでいるすき間から根や土が入らないか様子を見る、気になれば業者に相談
細い木の根が入り込んでいるすき間から根が入っている桝の中の根ははさみで切る、管の奥は業者へ
壁や底が欠けて、ボロボロになっている桝そのものが傷んでいる交換を含めて業者に相談
桝のまわりの地面がいつも湿っている桝や管から水が漏れている早めに業者に見てもらう
底に土砂がたまり続けるすき間から土が入っている掃除をして、たまる速さを見る

神戸市は、お手入れの方法の例として、木の根ははさみで切り取る、油や土砂はスコップなどで取り除く、と案内しています。

古いコンクリート桝で起きやすい、つなぎ目のすき間・木の根の侵入・欠けや割れ・水漏れ・土砂の流れ込みのサインと対処を判定する図解

木の根が入った時の対処は排水桝に木の根が入った時の対処でくわしく紹介しています。

自分で直そうとしない方がいいこと

すき間をふさごうと市販の材料で埋めたり、割れた桝を自分で取り替えたりするのは避けましょう。管の勾配やつなぎ方を誤ると、流れが悪くなることがあります。

塩ビの排水桝への交換・修理を考える時

交換は工事、詰まりの除去や掃除は工事ではない

排水設備の新設・増設・改築は、横浜市では市が指定した排水設備指定工事店でなければできません。工事を伴わない詰まりの除去や清掃だけなら、指定工事店でなくても行えます。

古いコンクリート桝を塩ビの排水桝に替えたい、と考える方もいるはずです。

桝の交換は、排水設備の改築にあたります。

横浜市では、市が指定した排水設備指定工事店でなければできない工事です。他の市にも、名前は違っても同じような制度があります。

交換を考える時の進め方
  1. 今の桝の状態(割れ、すき間、漏れ、根)をスマホで撮っておく
  2. 家を建てた会社や管理会社、市町村の指定工事店の一覧から相談先を探す
  3. 現地を見てもらい、交換が必要かどうかを聞く
  4. 複数の業者から見積書を取り、工事内容・費用・工期を比べる
  5. 内容に納得してから契約する

横浜市は、複数の業者から見積書を取ること、工事内容・費用・工期を事前に確かめることをすすめています。

工事の費用がどう決まるかは排水桝の工事費用の見方で、内訳の考え方を紹介しています。桝の製品やメーカーを調べたい時は排水桝のメーカーの調べ方が参考になります。

宅地内の桝の費用は持ち主の負担

横浜市の案内では、排水設備の維持管理は所有者の責任です。広島市も、宅地内の排水設備の修理費用は個人負担と案内しています。

道路との境目から約1mの公共ますは市町村の管理なので、公共ますの割れなどは市町村の窓口へ連絡しましょう。

突然の点検の勧誘に注意

横浜市は、「市役所から来た」など行政と関係があるような言い方で点検を持ちかけ、強引に修理を迫る点検商法に注意を呼びかけています。身分証明書や業者名・連絡先を確かめ、その場で決めないようにしましょう。

交換や修理を頼む先を比べておくと、いざという時に慌てずに済みますよ。

排水桝ドットコム

自分で直せない排水桝のつまりは、業者の見積もりで比べませんか

ふたを開けても原因が見えない、何度も詰まる、木の根が奥まで入っている。そんな時は無理をせず、つまり修理や排水管の工事を頼める業者に相談するのが近道です。頼む前に確かめることと、見積もりを同じ物差しで比べる手順をまとめました。

業者の選び方排水桝の修理業者の選び方を見る

当サイト内の解説ページに移動します。公共ますから先の詰まりは市町村の担当です。作業の内容・料金・保証は各業者に直接ご確認ください。

これから家を建てる・外構をする方へ

これから家を建てる方や、外構工事を考えている方は、桝の素材より「あとで開けられる場所にあるか」を気にしておくと安心です。

計画の段階で確かめておきたいこと
  • 桝の上を舗装やタイルでふさがない計画か
  • 桝の上に物置やウッドデッキを置かないか
  • 車が桝の上に乗る配置になっていないか
  • 木を植える場所が桝や管から離れているか

仙台市は、公共ますについて、埋めたり物を置いたりせず、車で乗らないよう呼びかけています。宅地内の桝も、同じように開けやすい状態にしておくと、点検や掃除がずっと楽になりますよ。

塩ビの排水桝についてよくある相談

塩ビの排水桝や古いコンクリート桝について、よく寄せられる相談を3つ取り上げます。

3つの相談に共通すること

桝の形や配管を自分で変えてしまうと、元に戻すのに手間がかかります。気になるサインを見つけたら、写真に撮って工事した会社や業者に見せるのが確実です。

「塩ビの排水桝の立上り管を短く切ってしまった」

外構工事のついでに、塩ビの排水桝の縦の筒(立上り管)を自分で短く切ってしまった、という相談です。

『元の長さに戻せるのかな』と不安になりますよね。立上り管は、ふたと底の部品をつなぐ筒なので、短くなるとふたの高さが地面と合わなくなります。

例えば、こんなやりとりで相談すると状況が伝わりやすいです。

「庭の工事のついでに、桝の筒を短く切ってしまって」
「ふたの高さが地面と合っているか、一度見に行きますね」

元に戻すには、継手を使って筒を足すなどの作業が必要になります。ふたの高さや勾配にも関わるので、工事した会社や業者に相談してみてください。

「塩ビ管とセメントの間に、すき間ができている」

桝を点検したら、塩ビの管とまわりのセメントの間に、細いすき間ができていた、という相談です。

古いコンクリート桝に塩ビの管をつないでいる所では、つなぎ目にすき間ができることがあります。仙台市は、樹木の根が桝や管のすき間に入り込むと詰まりの原因になると案内しています。

すき間から根や土が入っていないかを、年1回の点検の時に見ておきましょう。すき間が広がっている、まわりが湿っている、といった時は業者に見てもらうと安心です。

「コンクリートの排水桝がボロボロで、下から水が漏れている」

古いコンクリートの排水桝が劣化して欠けていたり、桝の下から水が漏れていたりする、という相談です。

桝そのものが傷んでいる時は、掃除では直りません。交換を含めて業者に見てもらう必要があります。

交換は排水設備の改築にあたるので、市町村の指定工事店かどうかを確かめて頼みましょう。仙台市も、工事が必要になったら市の公認業者かを確認するよう呼びかけています。

よくある質問

塩ビの排水桝と小口径桝は同じものですか?

住宅の宅地内で使われる、塩ビ製の直径の小さい排水桝を、小口径桝と呼ぶことが多いです。口径にはいくつかの大きさがあり、浜松市の雨水ますの基準の例では、置く深さで口径を決めています。

コンクリート桝は塩ビの排水桝に替えた方がいいですか?

割れやすき間、漏れがなく、流れに問題がなければ、慌てて替える必要はありません。古くなってつなぎ目のすき間や根の侵入、欠けが目立つ時は、交換を含めて業者に相談してみてください。

塩ビの排水桝は自分で交換できますか?

桝の交換は排水設備の改築にあたり、横浜市などでは市の指定工事店でなければできない工事です。自分で交換せず、指定工事店に相談しましょう。

雨水の桝の中にあるかごは何ですか?

雨水と一緒に流れてくる落ち葉や小石を受け止めるバスケットです。浜松市の基準では、小口径ますはバスケット付きとされています。中身がたまったら持ち上げて捨ててください。

塩ビの排水桝の中は、どうやって掃除しますか?

中が狭いので、ふたを開けて見える所の油や土砂を、柄の長い道具などで取り除き、水を流して流れを確かめます。底まで届かない詰まりは、無理せず業者に任せる方が安心です。

まとめ

この記事の要点
  • 塩ビの排水桝(小口径桝)は、硬い塩化ビニルで作られた直径の小さい丸い桝
  • コンクリート桝とは、大きさ・重さ・中の形・つなぎ目・掃除のしやすさ・木の根の入りにくさが違う
  • 浜松市の雨水ますの基準の例では、深いほど口径の大きい桝を使う
  • 古いコンクリート桝は、つなぎ目のすき間、根、欠け、漏れのサインを見る
  • 桝の交換は排水設備の改築なので、指定工事店に相談する
排水桝ドットコム

排水桝ドットコム 編集部

排水桝とは何か、家のどこにあるか、汚水桝・雨水桝・トラップ桝などの種類、つまりや木の根の対処と掃除の方法、工事や業者の頼み方までを、家の持ち主の目線で整理している情報サイトです。 公式サイト

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次