トラップ桝とは?排水桝のにおいを防ぐしくみと注意点

排水桝のトラップ(トラップ桝)がにおいを防ぐしくみと注意点を解説する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は、編集部が市町村の下水道の案内や国民生活センターなど公的機関の公開情報を調べて独自に執筆しています。排水設備の基準や管理の区分、指定工事店の制度は市町村によって違うことがあるため、最新の情報はお住まいの市町村の下水道の担当窓口で確認してください。

外の排水桝を開けたら、管が下向きに曲がって水の中に沈んでいて『これは何?詰まってるの?』と驚いたことはありませんか。

結論から言うと、それは排水桝のトラップです。桝の中に水をためて、下水のにおいが上がってこないようにふたをしているんです。

この記事を読むと、トラップ桝のしくみと、においがする時にどこを確かめればいいかが分かります。

目次

トラップ桝とは?においを止める「水のふた」

先に結論

トラップ桝とは、桝の中に水をためて、その水をふたの代わりにして、排水管からのにおいやガスが上がってくるのを防ぐ排水桝です。ためている水を「封水」と呼びます。

仙台市のリーフレットでは、台所・洗面所・風呂場の排水設備にはトラップ(防臭装置)をつけるよう案内しています。溜まった水がフタとなって、悪臭やガスが入るのを防ぐしくみです。

トラップは、家の中の排水口の下にもあります。そのトラップの役目を、外の排水桝で受け持っているのがトラップ桝なんです。

『水がたまっているのは、詰まっているからじゃないの?』と心配になりますよね。トラップ桝では、水がたまっているのが正常な状態です。

トラップ桝の中で、下向きに曲がった管の先が水に沈み、その水が封水となって下水のにおいを止めるしくみを示した図解
比べる点普通の排水桝トラップ桝
中の形底に溝(インバート)があり、水は流れていく管が下向きに曲がるなどして、水がたまる形
水を使っていない時底の溝が見えて、水はほとんどない一定の高さまで水がたまっている
役割点検と掃除の入口、管の合流点検の入口に加えて、においを止める
使われやすい系統どの系統でも台所や浴室など雑排水の系統

浜松市の排水設備指針では、防臭トラップ付きの小口径ますは200mmのみとされています。塩ビの小さな桝でもトラップ付きのものがある、ということですね。

封水の深さが大事

器具のトラップの封水の深さは、5〜10cmが基準とされています(八千代市などの資料)。

水が浅すぎるとにおいを止める力が弱くなり、水がなくなるとにおいがそのまま上がってきます。封水は「水のふた」なので、水があることそのものが大事なんです。

トラップ桝がある家・ない家と、二重トラップの考え方

トラップは1つの流れに1つが基本

家の中の排水口にトラップがあり、外の桝にもトラップがあると「二重トラップ」になります。各市の資料では、二重トラップは避けるのが基本とされています。

ここが少しややこしいところですよね。

トラップ桝がある家とない家があるのは、においを止める役目を「家の中の器具」で持つか「外の桝」で持つかの違いなんです。

家のタイプにおいを止めている所気をつけたいこと
器具にトラップがあり、外は普通の桝家の中の排水口の下器具のトラップの水を切らさない
器具にトラップがなく、外がトラップ桝外のトラップ桝トラップ桝の水とたまったごみを見る
器具にも外の桝にもトラップがある両方(二重トラップ)流れが悪くないかを見る

一般に、トラップが2つ続くと、間に空気が閉じ込められて水が流れにくくなることがあると言われます。水を流すと「ゴボゴボ」と音がする、少しずつしか流れない、といった時は、二重トラップが関係しているかもしれません。

グリース阻集器がある厨房では

上越市の資料では、グリース阻集器を使う場合、その上流にトラップますを設けると二重トラップになるため設けない、とされています。飲食店の厨房の排水は、厨房の排水桝とグリーストラップで紹介しています。

家の中のトラップはどこにある?

家の中の器具のトラップは、ふだんは目に入りにくい所にあります。どこを見ればいいか、目安をまとめました。

水回りトラップがある所の目安見え方の例
台所シンクの下の排水管管がU字やS字に曲がっている、筒の形の部品がある
洗面所洗面台の下の排水管管がU字やS字に曲がっている
浴室洗い場の排水口の中排水口のふたを外すと、お椀のような部品がある
洗濯機洗濯機の排水口排水口の中に筒の形の部品がある

これらがそろっている家では、外の桝にトラップがなくても、においは器具側で止められていることが多いです。

トラップを外せばいい、とは限らない

『二重トラップなら、外の桝のトラップを外せばいいのでは?』と思う方もいるはずです。

ただ、家の中の器具にトラップがない系統で外のトラップを外してしまうと、においを止める所がなくなってしまいます。古い在来工法の浴室などでは、器具側にトラップがないこともあるんです。

自分で配管を切ったり外したりしない

どこにトラップがあるかは、器具と配管を両方見ないと分かりません。トラップを外す・付けるといった配管の変更は、工事した会社や業者に、家全体の排水の流れを見てもらってから決めましょう。

下水のにおいがする時、原因はどこ?見分け表

においの場所と、桝の中の水を見る

下水のにおいがする時は、どこでにおうかと、トラップの水(封水)があるかを順に見ると、原因の見当がつきます。

家の中や庭で下水のようなにおいがすると、気になって仕方ないですよね。

慌てて業者を呼ぶ前に、次の表で当てはまる所を探してみてください。

においのする場所・様子考えられる原因まず確かめること
長く家を空けた後、排水口からにおう器具のトラップの水が減った・なくなった各排水口に水を流して、封水をためる
外の桝のまわりだけにおうふたのずれ、割れ、すき間ふたがぴったり閉まっているか
トラップ桝の水が少ない・ない封水が切れている上流の水回りで水を流して、水がたまるか
トラップ桝にごみや油がたまっているたまった物がにおいのもとになっているたまった物を取り除く
流すと「ゴボゴボ」音がして、においもする二重トラップや下流の詰まり下流の桝や公共ますに水がたまっていないか
庭の桝から水があふれている下流の詰まり公共ますを開けて、汚水がたまっているか
下水のにおいがする時に、においの場所、トラップの水の有無、たまった物、流れの様子の順に原因を見分ける判定表の図解
においの原因を確かめる順番
  1. 家の中で、どの排水口の近くがにおうかを確かめる
  2. しばらく使っていない排水口があれば、水を流して封水をためる
  3. 外のトラップ桝のふたを開け、水がたまっているかを見る
  4. 桝の中に油やごみがたまっていれば取り除く
  5. 改善しない時は、下流の桝と公共ますに水がたまっていないかを見る

仙台市の案内では、公共ますに汚水がたまっていれば公共下水道の詰まり、たまっていなければ宅地内の排水設備の詰まりと見分けます。公共ますのことは、最新・詳しくはお住まいの市町村の下水道の担当窓口で確認してみてください。

長く家を空ける時のひと工夫

旅行や帰省で長く家を空けると、トラップの水が少しずつ減っていきます。

『帰ってきたら、なんだか下水のにおいがする』という時は、まず全部の排水口に水を流してみてください。それだけでにおいが収まることも多いんです。

ふだんあまり使わない洗面所や、来客用のトイレの排水口も、時々水を流しておくと安心ですよ。

詰まりの直し方は排水桝のつまりを自分で直す方法で紹介しています。においが続く、配管の変更が必要そう、という時は相談先を比べておくと安心ですよ。

排水桝ドットコム

自分で直せない排水桝のつまりは、業者の見積もりで比べませんか

ふたを開けても原因が見えない、何度も詰まる、木の根が奥まで入っている。そんな時は無理をせず、つまり修理や排水管の工事を頼める業者に相談するのが近道です。頼む前に確かめることと、見積もりを同じ物差しで比べる手順をまとめました。

業者の選び方排水桝の修理業者の選び方を見る

当サイト内の解説ページに移動します。公共ますから先の詰まりは市町村の担当です。作業の内容・料金・保証は各業者に直接ご確認ください。

トラップ桝で詰まりやすい物と点検の手順

トラップ桝は、ごみがたまりやすい

トラップ桝は水をためる形なので、流れてきた油やごみも一緒にとどまりやすくなります。神戸市は、トラップますを定期的に点検し、障害物を置かないよう呼びかけています。

水がたまる形だからこそ、ごみもたまりやすいんです。

台所の系統のトラップ桝では、とくに油に気をつけたいところです。神戸市や仙台市は、油は冷えて固まるので流さず、凝固剤で固めるか新聞紙などにしみこませてごみに出すよう呼びかけています。

詰まりやすい物どこから来るか減らすためにできること
油の塊台所の排水油は流さず、ふき取ってごみに出す
野菜くず・残飯台所の排水排水口のネットで受けてごみに出す
髪の毛・石けんかす浴室・洗面所の排水排水口のごみ受けをこまめに掃除する
土や砂外で使った道具を洗った水土は庭で落としてから洗う
トラップ桝の点検で見ること
  • 水が一定の高さまでたまっているか
  • 水の表面に油の膜や白い塊が浮いていないか
  • 下向きの管の入口に、ごみが引っかかっていないか
  • ふたが割れたり、ずれたりしていないか
  • 桝の上に物が置かれていないか

仙台市や神戸市は、年1回程度、桝のふたを開けて堆積物を取り除くよう呼びかけています。たまった物は、ゴム手袋をしてスコップなどで取り除き、ごみとして捨てましょう。

点検と掃除の道具や手順は排水桝の掃除のやり方で、台所の油の対策は台所の排水桝の記事でくわしく紹介しています。

やらない方がいいこと

においが気になるからといって、薬品を混ぜて桝に流すのは危ないのでやめておきましょう。灯油なども、危険なので流さないよう仙台市は呼びかけています。

排水桝のトラップについてよくある相談

排水桝のトラップについて、よく寄せられる相談を3つ取り上げます。

3つの相談に共通すること

トラップがどこにあるかは、家の中の器具と外の桝の両方を見ないと分かりません。配管を変える前に、家全体の排水の流れを確かめてもらいましょう。

「二重トラップだからと、桝のトラップを切られてしまった」

業者に「二重トラップは必要ない」と言われ、トラップ桝の下向きの管をすべて切られた、という相談です。

『本当にそれでよかったのかな』と不安になりますよね。

家の中の器具にすべてトラップがあるなら、外のトラップがなくてもにおいは器具側で止められます。反対に、トラップのない器具がある系統なら、においが上がってくることがあります。

まずは家の中の各排水口にトラップがあるかを、工事した業者に確かめてもらいましょう。においが出ている時は、その場所と様子を具体的に伝えると話が早く進みます。

「浴室の排水口のあたりから、夜になるとにおいがします」
「浴室の排水口にトラップがあるか、確かめてみますね」

「溜桝とトラップ桝は何が違う?」

桝に水がたまる、という点で似ていて、違いが分からないという相談です。

この記事でいうトラップ桝は、管を下向きに曲げるなどして封水をつくり、においを止めるための桝です。

一方、雨水桝の底は泥だめになっていて、土砂を沈めるために水や泥がたまります。

どちらも水がたまりますが、目的が違うんです。桝の種類の違いは汚水桝・雑排水桝・雨水桝の違いで紹介しています。

「台所の排水の途中にトラップ桝がある。これでいいの?」

台所の外の桝を開けたら、トラップ桝になっていた、という相談です。

台所の系統でトラップ桝が使われていること自体は珍しくありません。気になるのは、台所のシンクの下にもトラップがあって二重トラップになっていないかです。

流れに問題がなく、においもしなければ、まずは定期的に油のたまり具合を見ていきましょう。流れが悪い、ゴボゴボ音がする時は、業者に家全体の排水を見てもらうと安心です。

よくある質問

トラップ桝に水がたまっているのは正常ですか?

はい、正常です。トラップ桝は、水をためてその水をふたの代わりにし、においを止めるしくみです。水がなくなっている時の方が、においが上がりやすくなります。

トラップ桝はどのくらいの頻度で点検すればいいですか?

仙台市や神戸市は、年1回程度、桝のふたを開けて堆積物を取り除くよう呼びかけています。台所の系統は油がたまりやすいので、流れが悪い時やにおう時は早めに見てみてください。

二重トラップはなぜ避けるのですか?

各市の資料で避けるのが基本とされています。一般に、トラップが2つ続くと間に空気が閉じ込められ、流れが悪くなることがあると言われます。気になる時は工事した会社や業者に見てもらいましょう。

トラップ桝のふたを開けると水が濁っています。大丈夫ですか?

流れてきた排水がたまっているので、多少濁っているのは自然なことです。油の塊やごみが浮いている、水がふだんより高くまでたまって引かない、という時は、取り除くか下流が詰まっていないかを確かめてみてください。

長く家を空けた後に下水のにおいがするのはなぜですか?

使わない間にトラップの水が減って、においを止められなくなっていることがあります。各排水口に水を流して、封水をためてみてください。

まとめ

この記事の要点
  • トラップ桝は、桝の中にためた水(封水)をふたの代わりにして、においを止める排水桝
  • トラップ桝では、水がたまっているのが正常
  • 器具と外の桝の両方にトラップがあると二重トラップになり、避けるのが基本
  • においがする時は、場所、封水の有無、たまった物、流れの順に確かめる
  • トラップ桝は油やごみがたまりやすいので、年1回は点検する
排水桝ドットコム

排水桝ドットコム 編集部

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