排水桝の掃除のやり方|年1回の点検手順と道具

排水桝の掃除のやり方を、年1回の点検手順と道具で解説する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は、編集部が市町村の下水道の案内や国民生活センターなど公的機関の公開情報を調べて独自に執筆しています。排水設備の基準や管理の区分、指定工事店の制度は市町村によって違うことがあるため、最新の情報はお住まいの市町村の下水道の担当窓口で確認してください。

庭の丸いふたを見て『そういえば一度も開けたことがない』と気になった方も多いはずです。

結論から言うと、排水桝の掃除は年1回、ふたを開けて中を見て、たまった物を取り除き、水を流して確かめるだけで十分なことがほとんどです。

この記事では、そろえる道具、4ステップの手順、桝の種類ごとの見るポイント、自分でやらない方がいい場面まで順番に紹介します。

目次

排水桝の掃除はやった方がいい?年1回の点検で十分な理由

先に結論

宅地内の排水桝と管は、家の持ち主が管理するものです。仙台市や神戸市は、少なくとも年1回程度ふたを開けて点検・お手入れすることを呼びかけています。

『新築だし、まだ掃除しなくても大丈夫でしょ?』と思いますよね。

実は、排水桝の中は家の中から見えないぶん、汚れがたまっても気づきにくい場所なんです。台所の油は冷えると固まり、桝の壁や底に少しずつ張りつきます。

例えば、台所の流れが少し悪くなって庭の桝を開けたら、白い油の塊が浮いていた。こういう場面は、点検をしていれば早めに気づけます。

誰が掃除するもの?

敷地の中にある桝と管は「排水設備」と呼ばれ、維持管理は持ち主の責任です(横浜市の案内)。費用も個人の負担になります(広島市の案内)。

一方で、道路との境目から約1メートル内側にある「公共ます」から先は、市が管理しています(仙台市の案内)。自治体によって呼び方や区分が違うことがあるので、最新・詳しくはお住まいの市町村の下水道の担当窓口で確認してみてください。

桝の場所管理するのは掃除の目安
建物のまわりの汚水桝・雑排水桝家の持ち主年1回程度ふたを開けて点検
雨どいの下などの雨水桝家の持ち主底に泥がたまる。広島市は月1回程度の清掃を呼びかけ
道路際の公共ます市町村上に物を置かず、すぐ開けられる状態にしておく

桝そのものの役割や種類から知りたい方は、排水桝とは?役割と種類を先に読んでおくと、この先の話が分かりやすくなりますよ。

掃除の前にそろえる道具と服装

特別な道具はいらない

ふたを開ける道具、すくう道具、捨てる袋、流す水の4つがあれば始められます。家にある物で足りることが多いです。

『専用の道具を買わないとできないの?』と心配になりますよね。

結論から言うと、ほとんどはホームセンターや家にある物で間に合います。大事なのは、手を直接入れずに済む道具をそろえることです。

道具使いみちあると楽になるもの
ゴム手袋(長めのもの)汚れから手を守る使い捨ての手袋を中に重ねる
マイナスドライバーふたのすき間に差し込んで持ち上げるふたの取っ手用の専用工具
小さなスコップ・ひしゃく油の塊や泥、ごみをすくう柄の長い物だと手を入れずに済む
バケツ・ごみ袋すくった物を入れる新聞紙を袋の中に敷いておく
ホースか水を入れたバケツ掃除の後に水を流して確かめる台所や浴室で水を出してくれる家族
園芸用のはさみ入り込んだ細い木の根を切る太い根は無理に切らない

服装は汚れてもいい長袖と長ズボン、それに長靴かサンダルではない靴がおすすめです。ふたの裏に虫がついていることもあるので、驚いて手を離さないよう心の準備もしておきましょう。

始める前のチェック
  • 晴れていて地面が乾いている日を選ぶ
  • 家の中で水を使う予定がない時間にする
  • 家族に「今から外の桝を掃除する」と伝えておく
  • 開けた桝のまわりに子どもやペットが近づかないようにする
  • ふたを置いておく場所を決めておく

家族に声をかけておくのは、掃除の途中にトイレや台所の水を流されると、開けた桝に汚れた水が一気に流れてくるからです。

年1回の点検は4ステップ。ふたを開ける・中を見る・取り除く・流して確かめる

この順番で進めれば迷わない

排水桝の掃除は「開ける」「見る」「取り除く」「流して確かめる」の4つに分けると、やることがはっきりします。見るだけで終わる年があってもかまいません。

『どこから手をつければいいか分からない』という方は、この4ステップをそのまま使ってみてください。

排水桝の年1回の点検を、ふたを開ける・中を見る・取り除く・流して確かめるの4ステップで示した図解
排水桝の掃除の手順
  1. ふたを開ける。すき間にドライバーを差し込み、てこの要領でゆっくり持ち上げる
  2. 中を見る。水の高さ、浮いている物、底や壁の汚れ、根が入っていないかを確かめる
  3. 取り除く。油の塊や泥、ごみをスコップやひしゃくですくい、袋に入れる
  4. 流して確かめる。家の中で水を出してもらい、桝の中を水がよどまず流れていくか見る

ステップ1 ふたを開ける

ふたは思ったより固く閉まっていることが多いです。土や砂がすき間に詰まっていたら、先にブラシや指先で取り除きましょう。

持ち上げる時は、ふたを桝の中に落とさないことが大事です。開けたふたは、裏を上にして平らな場所に置いておきます。

ステップ2 中を見る

開けたら、まず何もせずに中を見ます。ここで見たことが、掃除をするか、業者に相談するかを決める材料になるんです。

見えたもの考えられること次にやること
水が流れていて底が見える流れは保てている壁の汚れだけ軽く取って終わり
白い塊や膜が浮いている台所の油が冷えて固まったすくって取り除く
底に泥や砂がたまっている雨水や土が入り込んだスコップで取り除く
細い根が入り込んでいる継ぎ目から根が伸びてきた見える部分をはさみで切る
水がたまったまま引かないこの桝より先で詰まっている公共ますも見て、つまりの直し方を確認
見たことをメモしておくと来年が楽になる

スマホで桝の中を写真に撮っておくと、次の年に汚れのたまり方を比べられます。桝の場所と「台所」「トイレ」などの役割を家の簡単な見取り図に書いておくのもおすすめです。

例えば「去年より台所の外の桝の塊が増えている」と分かれば、油の捨て方を見直すきっかけになります。業者に相談する時も、写真があると状況を伝えやすいですよ。

ステップ3 取り除く

すくった油の塊や泥は、ごみ袋に入れて地域のルールに沿って捨てます。下水に流し直すと、また先の管で引っかかるので気をつけましょう。

お手入れの方法として、神戸市は「木の根ははさみで切り取る、油や土砂はスコップなどで取り除く」ことを紹介しています。ブラシでこする程度で十分で、強い力で削る必要はありません。

ステップ4 流して確かめる

最後に、家の中で台所や浴室の水を出してもらい、桝の中を流れていく様子を見ます。水が入ってきて、そのまま下流へ抜けていけば大丈夫です。

「流れてきた?」「うん、すぐ抜けていった」。こんなふうに声をかけ合いながら確かめると、1人でやるより早く終わりますよ。

掃除の後の確かめ方と、ふたの閉め方

閉めるまでが掃除

流れを確かめたら、ふたをきちんと閉めて、がたつきがないかを見ます。ふたがずれていると、つまずいたり、雨水や土が入り込んだりします。

『きれいになったし、ふたを置けば終わりでしょ?』と思うかもしれません。

ただ、ふたの閉め方が甘いと、上を歩いた時にずれたり、すき間から土が入ったりすることも。最後の数分を丁寧にやっておきましょう。

掃除の後に確かめること
  • 台所・浴室・洗面所の水が、それぞれの桝を流れていく
  • トイレを流した時、汚水桝に水がたまったままにならない
  • ふたの縁と受け口に砂や小石が残っていない
  • ふたが受け口にはまり、踏んでもがたつかない
  • 道具やごみ袋を桝のまわりに置き忘れていない

ふたの縁に砂がかんでいると、きちんと閉まりません。閉める前に受け口をさっとふいておくだけで、収まりがかなり変わります。

ふたが割れている、欠けている、いくら直してもがたつく。こういう時は、ふたの交換が必要かもしれません。交換や桝そのものの直しは工事になるので、見積もりを取って判断しましょう。

掃除をしたら流れが悪くなった時

『掃除のつもりが、かえって流れが悪くなった』という相談も見かけます。すくいきれなかった塊やごみが、勢いのある水で先の管に押し込まれた可能性があります。

まずは下流の桝と、道路際の公共ますを順に開けて、どこで水が止まっているかを見ましょう。公共ますに汚水がたまっていなければ、詰まりは敷地の中にあると考えられます(仙台市の案内)。

よくある失敗

汚れを一気に流そうと、ホースで強い水を桝に向けて当て続けることです。取りきれなかった塊が管の奥に送られ、自分では手の届かない所で詰まることがあります。

汚水桝・雑排水桝・雨水桝で見るポイントは違う

桝の種類で、たまる物が変わる

台所や浴室の水が入る桝は油や髪の毛、トイレの水が入る桝は紙や異物、雨水桝は泥と落ち葉がたまりやすい場所です。種類ごとに見る所を変えると、掃除が短く済みます。

『桝がいくつもあって、どれも同じように掃除すればいいの?』と迷いますよね。

実は、桝は流れてくる水によって中の形が違うんです。汚水の桝の底には「インバート」という半円形の溝があり、雨水桝の底は土砂をためる「泥だめ」になっています。

桝の種類流れてくる水中の形たまりやすい物見るポイント
雑排水桝(台所・浴室・洗面所など)生活排水底に溝(インバート)油の塊、髪の毛、石けんかす溝の中に白い塊がないか
汚水桝(トイレ)トイレの水底に溝(インバート)紙、水に溶けない異物溝の上に物が引っかかっていないか
雨水桝屋根や地面の雨水底が泥だめ泥、砂、落ち葉泥だめが埋まっていないか
トラップ桝台所などの排水水をためてにおいを止める油、ごみためた水の上の汚れ

浜松市の基準の例では、雨水桝の泥だめの深さは15cm以上とされています。泥だめが泥で満杯になると、雨水がそのまま管に流れ込み、管の中に泥がたまる原因になります。

汚水と雑排水を1つの桝にまとめている家もあります。ふたの表示と中の形で見分ける方法は、汚水桝・雑排水桝・雨水桝の違いで詳しく紹介しています。

においを止める桝は水をためておくもの

台所の外などにあるトラップ桝は、中に水をためて下水のにおいを止めるしくみです。水がたまっているのを見て『詰まっている』と勘違いしやすいので気をつけましょう。

トラップ桝は定期的に点検し、障害物を置かないことが呼びかけられています(神戸市)。しくみと注意点はトラップ桝の記事にまとめています。

台所の外の桝は油がいちばんの相手

台所の水が入る桝は、冷えて固まった油が壁や水面にたまりやすい場所です。年1回の点検で塊が多いようなら、ふだんの油の捨て方を見直すサインですよ。

油は凝固剤や古紙でふき取ってごみに出すよう、神戸市や仙台市は呼びかけています。台所まわりの対策は台所の排水桝の記事で紹介しています。

台所の外の雑排水桝のふたを開け、ゴム手袋をはめた手でひしゃくを使って中の汚れをすくっている手元の写真

自分でやらない方がいい場面と、訪問の無料点検への備え

見える所までが自分の範囲

ふたを開けて見る、手の届く所をすくう、水で流して確かめる。ここまでが自分でできる範囲です。管の奥の詰まり、太い木の根、桝の割れは業者に任せましょう。

『どこまで自分でやって、どこから頼めばいいの?』と迷いますよね。目安を表にしました。

場面自分でできる業者に任せる目安
油の塊や泥が見えるすくって取り除く取っても数日でまた水がたまる
細い根が少し入っている見える部分を切る太い根が管の中まで伸びている
水がたまって引かない公共ますまで順に見る敷地の中の管の奥で詰まっている
ふたや桝が割れている上に乗らないようにしておくふたや桝の交換が必要
深い桝で底に手が届かない柄の長い道具を試す手を入れないと届かない
無理をしないでほしいこと

深い桝に身を乗り出して手を入れる、市販の洗剤や薬品を混ぜて流し込む、こうした作業はやめておきましょう。けがや思わぬ事故につながります。

市販の液体のパイプクリーナーは、家の中の排水口や排水パイプに使う製品です。屋外の桝で固まった油や泥、木の根を溶かすための物ではないので、桝の掃除はすくって取るのが基本です。

清掃をしても流れが戻らない時は、清掃や修理を頼むことになります。仙台市は、市の公認業者などへ依頼するか、管理会社やハウスメーカー、排水設備の工事をした業者に直接連絡するよう案内しています。

頼み方と見積もりの確かめ方は、排水桝の修理を業者に頼む方法で順番に紹介しています。

排水桝ドットコム

自分で直せない排水桝のつまりは、業者の見積もりで比べませんか

ふたを開けても原因が見えない、何度も詰まる、木の根が奥まで入っている。そんな時は無理をせず、つまり修理や排水管の工事を頼める業者に相談するのが近道です。頼む前に確かめることと、見積もりを同じ物差しで比べる手順をまとめました。

業者の選び方排水桝の修理業者の選び方を見る

当サイト内の解説ページに移動します。公共ますから先の詰まりは市町村の担当です。作業の内容・料金・保証は各業者に直接ご確認ください。

「今なら無料で点検します」と言われたら

排水管や桝の点検を持ちかける訪問や、格安をうたうチラシが入ることがあります。横浜市は「点検商法」として次のような手口に注意を呼びかけています。

  • 「近くで下水道工事をしている」と言って、勝手に消臭剤をまいて代金を請求する
  • 「市役所から来た」など、行政と関係があるような言い方をする
  • 「今なら無料」と点検を持ちかけ、強引に修理を迫る
  • 断ると、威圧的に契約を迫る

『市の人なら安心かな』と思ってしまいそうですよね。ただ、こうした訪問にはその場で家に入れず、身分証や業者名、連絡先を確かめてみてください。

仙台市も、無料点検や清掃の勧誘があっても、必要かどうか分からない時は即決せず、他の業者からも見積もりを取るよう呼びかけています。年1回自分で桝を開けていれば、勧誘されても「この前見たばかりです」と落ち着いて断れますよ。

詳しくは横浜市の点検商法への注意の案内も参考になります。

排水桝の掃除でよくある相談

相談に多いのは「やったことがない」「やり方が合っているか不安」

排水桝の掃除は、知らないまま何年も過ぎている方が多いテーマです。気づいた時が始めどきなので、まずはふたを開けて見るところからで大丈夫です。

何年も掃除していないけれど、自分で開けても大丈夫?

汚水桝や雨水桝の掃除を、何年も気にせず過ごしてしまった。自分で清掃するのは避けた方がいいか、という相談です。

結論から言うと、ふたを開けて中を見るところまでは自分でやって大丈夫です。手順はこの記事の4ステップと同じです。

ただ、長く開けていないと、ふたが固くなっていたり、汚れが厚くたまっていたりします。すくっても底が見えない、水が引かない時は、無理に続けず業者に相談しましょう。

台所の外の桝の油の塊、みんな掃除しているの?

台所から続く外の桝に、油などの塊がたまっている。ほかの家では定期的に掃除しているのか、誰がやっているのか、という相談です。

宅地内の桝は持ち主の管理なので、掃除するのは住んでいる家の人です。年1回程度の点検が目安で、塊が多い家はもう少し間隔を詰めてもいいでしょう。

塊が毎回たくさん出るなら、掃除の回数を増やすより、油を流さない工夫をした方が楽になりますよ。

掃除の途中でトイレを使ったらどうなる?

汚水桝を点検・掃除している途中に、家の中でトイレを流したらどうなるか、という相談です。

開けている桝に汚水が流れてくるので、作業している手元が汚れてしまいます。掃除を始める前に、家族に声をかけておくのがいちばん確実な対策です。

高圧洗浄機で桝や管を洗ってもいい?

家庭用の高圧洗浄機で、汚水桝からつながる管の中まで洗おうと考えている、という相談も見かけます。

桝の壁を軽く洗う程度ならともかく、管の奥に向けて使うのはおすすめしません。取れた汚れが先の管で止まると、自分では手の届かない場所で詰まりが起きることがあります。管の中の洗浄は、業者の仕事と考えておきましょう。

よくある質問

排水桝の掃除はどのくらいの頻度でやればいいですか?

仙台市や神戸市は、年1回程度ふたを開けて点検・お手入れすることを呼びかけています。雨水桝は泥がたまりやすく、広島市は月1回程度の清掃を案内しています。

新築でも排水桝の掃除は必要ですか?

新しい家でも、台所の油や雨水の泥は少しずつたまります。年1回ふたを開けて中を見て、汚れていなければそのまま閉めるだけでもかまいません。

排水桝に重曹や洗剤を入れておけばきれいになりますか?

桝の中の油の塊や泥は、すくって取り除くのが基本です。薬品を混ぜて流し込むのは危ないのでやめておきましょう。

公共ますも自分で掃除するものですか?

公共ますから先は市町村の管理です。上に物を置かず、すぐ開けられる状態にしておき、詰まっている様子があれば市町村の下水道の担当窓口に連絡しましょう。

掃除をしても流れが悪いままの時はどうすればいいですか?

下流の桝と公共ますを順に開け、どこで水が止まっているかを見ます。敷地の中の管の奥で詰まっていそうなら、業者に清掃や修理を相談しましょう。

まとめ

この記事の要点
  • 宅地内の排水桝は持ち主の管理で、掃除の目安は年1回程度
  • 道具は手袋・ドライバー・スコップやひしゃく・袋・水があれば足りる
  • 手順は、ふたを開ける・中を見る・取り除く・流して確かめるの4ステップ
  • 雑排水桝は油、汚水桝は紙や異物、雨水桝は泥だめの泥を中心に見る
  • 閉めた後にがたつきがないかまで確かめる
  • 管の奥の詰まり、太い根、桝の割れは業者に任せ、無料点検の勧誘はその場で決めない
排水桝ドットコム

排水桝ドットコム 編集部

排水桝とは何か、家のどこにあるか、汚水桝・雨水桝・トラップ桝などの種類、つまりや木の根の対処と掃除の方法、工事や業者の頼み方までを、家の持ち主の目線で整理している情報サイトです。 公式サイト

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