ポンプアップ排水と排水桝|地下室や低い土地の排水のしくみ

ポンプアップ排水と排水桝のしくみを、地下室や低い土地の排水の流れで解説する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は、編集部が市町村の下水道の案内や国民生活センターなど公的機関の公開情報を調べて独自に執筆しています。排水設備の基準や管理の区分、指定工事店の制度は市町村によって違うことがあるため、最新の情報はお住まいの市町村の下水道の担当窓口で確認してください。

半地下のある家や、道路より低い土地の家を検討していて『排水はどうやって流れるの?』と気になった方も多いはずです。

結論から言うと、低い場所の排水はいったん槽にためて、ポンプで汲み上げてから排水桝へ送ります。これがポンプアップ排水です。

この記事を読むと、ポンプアップ排水と排水桝のしくみ、大雨の時に気をつけること、日頃の点検と故障した時の連絡先の考え方が分かります。

目次

ポンプアップ排水は、低い所の水を汲み上げて桝へ送るしくみ

先に結論

ふつうの家の排水は、管の傾きを使って自然に流れていきます。床が道路や地面より低い場所では自然に流せないため、ためた水をポンプで高い所の桝まで押し上げます。

『排水って、勝手に流れていくものじゃないの?』と思いますよね。

実は、家の排水管は少しずつ下り坂になるように埋められていて、その傾きで水を流しているんです。この流し方を「自然流下」と呼びます。

ところが、半地下の建物は地下部分の床が道路や地盤面より低く、自然流下での排水が難しいとされています(横浜市の案内)。下り坂が作れないので、ポンプの力を借りるわけです。

地下室や半地下の排水を排水槽にため、ポンプで汲み上げて屋外の排水桝へ送り、公共ますへ流すしくみを示した図解
比べる点自然流下の家ポンプアップ排水の家
水の流れ方管の傾きで桝へ流れる槽にためてポンプで桝へ送る
動かす力重さだけポンプ(電気)
点検する所桝と管桝と管に加えて、槽とポンプ
止まりやすい場面詰まり詰まりに加えて、停電やポンプの故障
大雨の時下水道の水位が上がると流れにくい同じく、低い排水口ほど逆流に気をつける

ポンプは誰の責任で置くもの?

横浜市は、自然流下が難しい場合は、設置者の責任においてポンプを設置できるとしています。半地下の建物でも、建築基準法で下水管などの設置が義務づけられています。

つまり、ポンプと槽は家の側の設備です。宅地内の桝や管と同じく、管理するのは持ち主と考えておきましょう。

自治体によって考え方や区分が違うことがあるので、最新・詳しくはお住まいの市町村の下水道の担当窓口で確認してみてください。

排水槽とポンプのしくみ。どこに何があるの?

槽・ポンプ・送る管・桝の4つで1組

ポンプアップ排水は、水をためる槽、汲み上げるポンプ、押し上げる管、送り先の排水桝の4つで1組です。どれか1つが止まると、全体が止まります。

『ポンプって、どこに付いているんだろう』という方も多いはずです。

地下室の床下や、建物の低い場所に水をためる槽があり、その中にポンプが入っていることが多いです。ポンプで押し上げた水は、管を通って屋外の排水桝に入り、そこからは自然流下で公共ますへ流れていきます。

部分役割気にしたいこと
排水槽低い所の排水をいったんためる汚れや沈殿物がたまっていないか
ポンプためた水を汲み上げる動く音、止まる音がいつもどおりか
送る管汲み上げた水を桝まで運ぶ継ぎ目から漏れていないか
排水桝送られた水を受けて下流へ流す水がたまったままになっていないか

槽の底の形にも理由がある

排水槽は、底に勾配をつけて、ポンプの吸い込み部分にくぼみ(ピット)を設けるのが一般的な考え方です。水を残さず汲み上げるためなんです。

槽の汚水を空にできず沈殿物が残ると、腐って悪臭の原因になります。においが気になり始めたら、槽の中の汚れを疑ってみてください。

送り先の排水桝は、点検の入口にもなる

ポンプで押し上げた水を受ける桝は、管がつながる場所です。排水の基準では、管の起点や合流点、曲がる所などに桝を設けることになっています(各市の指針)。

この桝のふたを開ければ、ポンプから水が届いているか、下流へ流れているかを確かめられます。ふだんから場所を覚えておくと、いざという時に役立ちますよ。桝の役割や種類は排水桝とは?役割と種類で紹介しています。

大雨の時の逆流に気をつけたい

低い排水口ほど逆流しやすい

大雨の時は下水道管の水位が上がり、特に合流式の地区では、浴室や洗面所の排水口から下水が逆流する危険があるとされています(横浜市の案内)。地下室や半地下のある家は、とくに気をつけたい場面です。

『大雨の日に、地下の排水口からゴボゴボ音がした』。こんな経験があると不安になりますよね。

下水道管の中の水位が上がると、低い所にある排水口から下水が押し戻されることがあります。ポンプアップ排水の家は、そもそも排水口が道路より低いので、影響を受けやすい場所なんです。

大雨の前後にやっておきたいこと
  • 大雨の予報が出たら、地下の浴室や洗面所の使用を控えめにする
  • 地下の排水口のまわりに物を置かない
  • 大雨の後、地下の排水口や屋外の桝に泥やごみがたまっていないか見る
  • 逆流が心配な時は、対策を設置した会社や工事店に相談する

道路際の公共ますも、ふだんから気にしておきたい場所です。仙台市は、公共ますを埋めたり上に物を置いたりせず、すぐ開けられる状態にしておくよう呼びかけています。

雨水桝の底の泥だめには、細かい泥がたまります。広島市は月1回程度の清掃を案内しているので、大雨の季節の前に一度開けてみるのもおすすめです。

自分の地区が合流式か分流式かは、市町村の窓口で確認できます。詳しくは横浜市の半地下建物の排水の案内も参考になります。

日頃の点検チェック表。ポンプの動作・槽の汚れ・停電の時

ポンプは「動いているか」を時々見るだけでも違う

ポンプは止まるまで気づきにくい設備です。いつもの音や動き方を知っておくと、異常に早く気づけます。

『点検といっても、何を見ればいいの?』という方は、下の表を使ってみてください。自分でできるのは、見る・聞く・においを確かめるところまでです。

点検すること見るポイントおかしい時のサイン
ポンプの動作水を使った後に動き、しばらくして止まるか動きっぱなし、まったく動かない、異音がする
槽の汚れ点検口から見て、汚れや沈殿物がたまっていないかにおいが強くなった、水位が下がらない
送り先の桝屋外の桝に水がたまったままになっていないか桝の水が引かない、あふれた跡がある
警報や表示警報装置があれば、表示がいつもどおりか警報が鳴る、ランプが点いている
停電の時停電中はポンプが動かないことを家族で共有停電中に水を使い続けて槽があふれる
地下の排水のポンプの動作・槽の汚れ・送り先の排水桝・停電時の4点を確かめるチェック表の図解

停電の時に気をつけたいこと

ポンプは電気で動くので、停電中は汲み上げができません。その間に水を使い続けると、槽に水がたまる一方になります。

停電した時は、地下の浴室や洗面所、トイレを使うのを控えておきましょう。家族にも「停電の時は地下の水回りを使わない」と伝えておくと安心です。

においがする時に見る順番

『地下の部屋が何だかにおう』と感じたら、まず排水口のトラップに水がたまっているかを見てみてください。台所や洗面所、風呂場の排水設備には、水をためてにおいを止めるトラップが付いています(仙台市の案内)。

しばらく使っていない排水口は、ためた水が減ってにおいが上がることも。水を少し流して様子を見て、それでもにおうなら槽の汚れを疑い、業者に点検を頼みましょう。

槽の中の作業は任せる

槽の清掃やポンプの点検・修理は、深い所での作業になります。自分で槽に入ったり、手を入れたりするのはやめておき、設置した会社や業者に任せましょう。

故障した時は誰に連絡する?

まず「どこで止まっているか」を見る

ポンプが止まったのか、送り先の桝や管が詰まったのか、それとも公共下水道の側かで、連絡先が変わります。見える範囲で確かめてから連絡すると話が早く進みます。

『地下の排水があふれそう、どこに電話すればいいの?』と焦りますよね。まずは落ち着いて、下の順番で見てみてください。

故障した時の確かめ方
  1. 地下の水回りの使用をやめる
  2. ポンプが動く音がするか、ブレーカーが落ちていないかを確かめる
  3. 屋外の排水桝に水がたまったままになっていないかを見る
  4. 道路際の公共ますに汚水がたまっていないかを見る
  5. 止まっている場所に合わせて連絡先を決める

公共ますのふたを開けて汚水がたまっていれば、市の公共下水道の詰まりと考えられます(仙台市の案内)。この場合は、自分で業者を手配すると原因が公共側でも費用は自己負担になるので、先に市町村へ連絡しましょう。

公共ますに汚水がなく、ポンプや宅地内の桝・管に原因がありそうなら、家の側の設備の問題です。仙台市は、管理会社やハウスメーカー、排水設備の工事をした業者に直接連絡する方法を案内しています。

止まっていそうな場所連絡先の考え方
ポンプや槽設置した会社、建てた会社、管理会社
宅地内の桝や管工事をした会社、市町村の指定工事店、水回りの修理業者
公共ますから先市町村の下水道の担当窓口

ポンプの交換や管の入れ替えなどの工事が必要になった時は、見積もりの内訳を確かめて比べましょう。見積書の見方は排水桝の工事費用の決まり方、業者の探し方は排水桝の修理を業者に頼む方法で紹介しています。

排水桝ドットコム

自分で直せない排水桝のつまりは、業者の見積もりで比べませんか

ふたを開けても原因が見えない、何度も詰まる、木の根が奥まで入っている。そんな時は無理をせず、つまり修理や排水管の工事を頼める業者に相談するのが近道です。頼む前に確かめることと、見積もりを同じ物差しで比べる手順をまとめました。

業者の選び方排水桝の修理業者の選び方を見る

当サイト内の解説ページに移動します。公共ますから先の詰まりは市町村の担当です。作業の内容・料金・保証は各業者に直接ご確認ください。

ポンプアップ排水でよくある相談

中古住宅やリフォームでの相談が多い

ポンプアップ排水の相談は、中古の家を買ってリフォームする時や、新築で排水の高さが合わない時に多く見られます。自分の家の設備を知っておくことが、最初の一歩です。

中古住宅にポンプアップ設備があった。リフォームで気をつけることは?

中古の戸建てをリフォームする予定で、排水のポンプアップ設備が付いていた。何に気をつければいいか、という相談です。

まずは、ポンプと槽がどこにあり、汲み上げた水がどの桝に送られているかを、リフォーム会社と一緒に確かめておきましょう。水回りの位置を動かす時は、ポンプの能力や送る管の通り道も見直しが要ることがあります。

前の持ち主から点検の記録や設置した会社の情報を引き継げると、後の相談がぐっと楽になりますよ。

大雨の時、排水が逆流してくる

大雨の時に、排水管から水が戻ってくるという相談も見かけます。

下水道管の水位が上がると、低い所の排水口ほど逆流しやすくなります。大雨の時は低い場所の水回りの使用を控え、繰り返し起きるなら、設置した会社や工事店に対策を相談してみてください。

よくある質問

ポンプアップ排水とは何ですか?

地下室や半地下など、道路や地面より低い所の排水を槽にためて、ポンプで汲み上げてから排水桝へ送るしくみです。自然に流れない場所で使われます。

ポンプアップ排水桝の点検は自分でできますか?

ポンプが動く音、屋外の桝に水がたまっていないか、においがしないかを見るところまでは自分でできます。槽の清掃やポンプの修理は業者に任せましょう。

停電したらどうなりますか?

ポンプが動かないので、地下の水回りの排水を汲み上げられません。停電中は地下の浴室や洗面所、トイレの使用を控えましょう。

ポンプが故障したらどこに連絡すればいいですか?

公共ますに汚水がたまっていれば市町村へ、そうでなければ設置した会社や建てた会社、管理会社、排水設備の工事をした業者に連絡するのが目安です。

ポンプや槽の費用は誰が負担しますか?

横浜市は、自然流下が難しい場合は設置者の責任においてポンプを設置できるとしています。宅地内の排水設備は持ち主の管理で、修理の費用も個人負担になるのが基本です。工事が必要な時は、複数の業者から見積もりを取って内訳を比べましょう。

まとめ

この記事の要点
  • ポンプアップ排水は、低い所の排水を槽にためてポンプで排水桝へ送るしくみ
  • 横浜市は、自然流下が難しい場合は設置者の責任でポンプを設置できるとしている
  • 大雨の時は下水道管の水位が上がり、低い排水口ほど逆流に気をつける
  • 点検はポンプの動作・槽の汚れ・送り先の桝・停電時の4点
  • 故障時は止まっている場所を確かめてから連絡先を決める
排水桝ドットコム

排水桝ドットコム 編集部

排水桝とは何か、家のどこにあるか、汚水桝・雨水桝・トラップ桝などの種類、つまりや木の根の対処と掃除の方法、工事や業者の頼み方までを、家の持ち主の目線で整理している情報サイトです。 公式サイト

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